乳歯のむし歯を放置すると永久歯に起こる影響と受診を考えるサイン|名古屋市西区の歯医者|芦刈デンタルクリニック

名古屋駅徒歩7分
提携駐車場有

〒451-0045 名古屋市西区名駅2丁目23-14
VIA141-1階

トピックス TOPICS

乳歯のむし歯を放置すると永久歯に起こる影響と受診を考えるサイン

乳歯のむし歯を放置すると永久歯に起こる影響と受診を考えるサイン

乳歯はいずれ抜けるから待ってよいか迷ったときに知っておきたいこと


乳歯のむし歯をそのままにすると、歯の根の先に起きた炎症がすぐ下で育つ永久歯の質に関わったり、早く歯を失うことで永久歯が生えるすき間が狭まったりする可能性があります。 強い痛みがなくても、むし歯が内部で進んでいることは珍しくありません。この記事では、乳歯のむし歯が永久歯や歯並びとどう関わるのかという仕組みと、受診を急ぐか判断するための症状の目安を整理しました。歯科医院への苦手意識があるお子さまの予約時に伝えておきたい項目や、初診で確認する内容もまとめていますので、ご家族で受診の時期を話し合う手がかりとしてお役立てください。


この記事の要点まとめ


  • 乳歯のむし歯は、あとから生える歯の質や、生えるためのすき間にかかわることがあります。
  • 穴や黒ずみ、かむときの違和感、歯ぐきの腫れなどは受診を考えるサインです。
  • 予約時に苦手なことを伝え、初診で状態や治療の進め方を相談できます。


乳歯のむし歯を放置すると永久歯に起こり得る影響とその仕組み

乳歯のむし歯を放置すると永久歯に起こり得る影響とその仕組み

乳歯はエナメル質が薄く、むし歯が神経まで届きやすい


乳歯は永久歯に比べて歯の層が薄いため、むし歯が短期間で神経の近くまで進みやすい特徴があります。日本歯科医師会の資料でも、乳歯のエナメル質や象牙質(歯の内部の層)の厚みは永久歯の半分程度と示されています1。子どものむし歯は世界的にも多くみられるお口の課題として報告されています2。


表面の穴が小さく見えても、柔らかい象牙質の中でむし歯が広がっている場合があります。歯科ではむし歯の進み具合を、表面が溶け始めた初期の状態(C0)から、エナメル質(C1)、象牙質(C2)、神経まで達した状態(C3)、歯の頭の部分がほとんど崩れた状態(C4)に分けて確認します。乳歯はこの段階が早く進みやすいため、気づいたときには深くなっていることが少なくありません。


根の先の炎症が、下で育つ永久歯の歯の質に及ぶ可能性


むし歯が神経(C3以降)まで進み、乳歯の根の先に炎症や膿がたまると、すぐ下のあごの骨の中で作られている永久歯に影響が及ぶ場合があります。永久歯は5年以上の長い時間をかけて少しずつ硬く育ちます1。その途中で乳歯の根の周りに強い炎症が続くと、永久歯の表面に茶色や白の変色が出たり、エナメル質がうまく作られず弱くなったりすることがあります。


ただし、乳歯のむし歯が深くなったからといって、すべてのお子さまにこうした変化が起こるわけではありません。炎症の広がり方や、永久歯がどこまで育っているかによって個人差があります。今の状態を確かめるためにも、早めに歯科医院でお口の中を確認しておきましょう。


早く抜けた乳歯のすき間が狭まり、永久歯の生える場所に影響する仕組み


むし歯が大きく進んで乳歯が生え替わりの時期より早く抜けると、両隣の歯が傾いたり移動したりして、後から生える永久歯のためのすき間が狭くなることがあります3。すき間が足りなくなると、永久歯が本来の位置からずれて生え、歯並びやかみ合わせに影響が出る場合があります。


乳歯を早く失った場合は、すき間を保つための装置(保隙装置)を使うか、そのまま経過を見るかを歯の位置や生え替わりの時期に合わせて判断します。保隙装置には公的医療保険が適用されるものと自由診療になるものがあり、自由診療の場合は1万5,000〜5万円程度が一般的な相場です(一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関により異なります)。装置によってはお口の中が磨きにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症につながるリスクもあります。また、歯並びやあごの発育には、普段の食べ方や姿勢、呼吸の仕方といったお口の機能も関わります。


ポイント

乳歯のむし歯は、下で育つ永久歯の質と、永久歯が生えるためのすき間の両方に関わることがあります。


「いずれ生え替わるから待ってよい」と言い切れない理由


ご家族から「乳歯はどうせ抜けるから、生え替わるまで待ってもよいのではないか」と助言を受けることがあるかもしれません。確かに前歯は6〜7歳ごろから生え替わりますが、奥歯の乳歯は10〜12歳(小学校高学年)ごろまで使い続けることが多い歯です。それまでの間、しっかりかんで栄養をとることや、永久歯が正しい場所に生えるための道しるべとして働く役割を担っています。


むし歯の菌がお口の中に多い状態のまま新しい永久歯が生えてくると、生えたばかりのまだ弱い永久歯がむし歯になるリスクも高まります。ご家族に受診の必要性を伝える際は、「奥歯は高学年まで使うこと」「下で育つ永久歯の環境を守りたいこと」の2点を共有すると話し合いやすくなります。これまで受診を迷っていた時間を責める必要はありませんので、まずは現在のお口の状態を確認するところから一緒に始めましょう。


強い痛みがなくても受診を考えたい、乳歯のむし歯のサイン

強い痛みがなくても受診を考えたい、乳歯のむし歯のサイン

「かむと気になる」・奥歯の穴や黒ずみは早めに予約を


お子さまが「泣くほどではないけれど、かむと気になる」と話したり、仕上げみがきで奥歯に小さな穴や黒ずみを見つけたりしたときは、日をあまり空けずに歯科医院の予約を取ることを考えましょう。先ほど触れたとおり、乳歯はエナメル質や象牙質が薄いため、数か月様子を見ている間にむし歯が深くなることがあります1。


食事のときに次のような様子が見られる場合も、歯に違和感が出ているサインかもしれません。


  • 特定の場所に食べ物がよく詰まる、または歯みがきで引っかかる
  • 左右のどちらか片側ばかりでかんでいる
  • 硬いものや冷たいものを避けるようになった
  • 仕上げみがきで特定の場所を触ると顔をしかめる

こうした変化に気づいた段階で受診しておくと、強い痛みが出る前に対応しやすくなります。


歯ぐきの腫れ・膿のふくらみ・顔の腫れや発熱は速やかに相談


歯ぐきや顔まわりに腫れがある場合は、むし歯の菌が歯の根の先からあごの骨や歯ぐきへ広がっている可能性があるため、速やかな受診が必要です。特に、歯ぐきにニキビのような白いふくらみ(膿の出口)ができているときや、頬が腫れているとき、発熱や夜眠れないほどの痛みを伴うときは、予約日を待たずに歯科医院へ電話で症状を伝えてください。


お口の症状と受診の目安を次の表に整理しました。


お口のサイン・お子さまの様子考えられる状態受診を考える目安
頬や顔の腫れ、発熱、強い痛み、歯ぐきの白いふくらみ根の先や歯ぐきに炎症・感染が広がっている可能性速やかに連絡・受診(夜間休日は救急窓口へ)
かむと気になる、食べ物が詰まる、穴や黒ずみが見える象牙質までむし歯が進んでいる可能性日をあまり空けずに予約(1〜2週間以内を目安)
歯の表面が白く濁っている、健診で受診を勧められた初期のむし歯や、見えにくい場所のむし歯の可能性予定を調整して受診予約を入れる

夜や休みの日に急に腫れたり熱が出たりしたときは、お住まいの市や町が設けている休日・夜間の歯科診療所を調べて相談しましょう。


痛みが消えたのは治ったからとは限らない


「数日前に痛がっていたけれど、今はケロッとしているから大丈夫そうだ」と感じる場面でも、注意が必要です。一度進んだむし歯が自然に元の健康な歯に戻ることはありません。痛みが消えても、むし歯は歯の中に残ったままで、神経の近くや根の先へ進んでいることがあるためです。


むし歯が根の先まで進むと、炎症や膿がたまり、あとから歯ぐきが腫れてくることがあります。また、小さなお子さまは痛みをうまく言葉にできず、「なんだか変」「食べたくない」とだけ表現することも珍しくありません。お子さまの訴えが小さいからといってむし歯が浅いとは限らないため、一度でも違和感のサインがあれば歯科医院で確認してもらいましょう。


ポイント

一時的に痛みが引いてもむし歯は治っていないため、違和感があった歯は一度歯科医院で確認しましょう。


白く濁った部分や歯と歯の間は、家庭では見つけにくい


むし歯というと「黒くなる」という印象が強いかもしれませんが、子どもの初期のむし歯は、歯の表面がツヤを失って「白く濁った状態(白斑)」として現れることがあります。さらに、奥歯の歯と歯の間は外から見えにくいため、ご家庭の仕上げみがきだけで見つけるのは簡単ではありません。


目で見るだけでは見つけにくいむし歯もあり、状況に応じて複数の方法を組み合わせて確認します4。園や学校の歯科健診で「受診をおすすめします」という紙をもらったときは、一度歯科医院でお口の中を確かめておきましょう。ご家庭で見て穴が分からなくても、見落としを防ぐことにつながります。


歯科が苦手なお子さまの予約時に伝えたいことと初診で確認する内容


予約の電話で伝えておきたい3つのこと


以前の受診で泣いてしまい、途中で診察を終えた経験があると、「また嫌がって進まないのではないか」と予約をためらってしまうことがあります。予約を取る際は、あらかじめお子さまの様子を歯科医院へ伝えておくと、当日の進め方を相談しやすくなります。


予約の電話やウェブ予約の備考欄では、次の3点を伝えておきましょう。


1. これまでの受診経験と苦手なこと(例:以前に泣いて中断した、機械の音や水が出る器具が怖いなど)

2. 気になっている歯の場所といつから違和感があるか(例:右下の奥歯に穴が見え、昨夜からかむと気にしている)

3. 腫れや発熱の有無、園の健診で指摘された内容


事前にこれらが伝わっていれば、歯科医院側も「当日はまずお口を見るだけにするか」「練習の時間をどれくらい取るか」といった準備を整えてお迎えすることができます。


初診で確認すること:歯ぐきの状態、むし歯の深さ、生え替わりの時期


初診では、いきなり歯を削るのではなく、まず歯ぐきの状態やお口全体の環境を確認したうえで、むし歯の深さを調べます。目で見る確認だけでなく、必要に応じてレントゲン撮影などを組み合わせ、歯と歯の間や根の先の状態、その下で育っている永久歯の位置を確かめます。


治療のやり方は、むし歯の深さだけでなく「その乳歯があと何年くらいで生え替わるか」も考えて決めます。むし歯をすべて削り取る方法のほか、神経の近くを残して少しずつ進める方法や、削る量をおさえて被せ物などでふさぐ方法もあります5。


むし歯の治療は保険診療の範囲で行え、市や町の子ども医療費の助成の対象になる場合もあります。まずは検査の結果をもとに治療の選び方と通う回数の見通しを聞き、納得したうえで進めていきましょう。


怖がる子どもには、診療台に慣れる段階から一緒に進めます


強い痛みや急な腫れがない場合は、お子さまの気持ちに合わせて段階を踏んで進めることができます。たとえば、歯科医院が初めてのお子さまや不安が強いお子さまには、保護者の方の膝の上でお口を見せてもらうところから始めることもあります。初日はお口の中の写真撮影や器具に触れる練習だけを行い、実際の処置は次回以降に分ける進め方も選択肢のひとつです。


ご家庭で受診前に声をかけるときは、「何もしないよ」「痛くないよ」と伝えるのは控えましょう。「バイキンさんがいないか先生に鏡で見てもらおうね」と当日に行うことを具体的に伝えるほうが、お子さまも見通しを持ちやすくなります。受診のあとには、「お口を開けられたね」「椅子に座れたね」とできたことを具体的にほめてあげましょう。


ポイント

予約時に苦手意識を伝えておくことで、初診は「お口の確認と慣れる練習」から段階的に相談しやすくなります。


仕事や送迎と通院を両立させる工夫


お仕事や園の送迎、下のお子さまのお世話が重なる中では、1回の受診でどこまで進むのかが見えないと予定が立てにくいものです。通院の計画を立てる際は、初診のカウンセリングで「全部で何回くらい通う見込みか」「1回の診療時間はどのくらいか」を遠慮なく確認しておきましょう。


当院は地下鉄東山線「亀島駅」3番出口から歩いて5分、各線「名古屋駅」ユニモール10番出口から歩いて7分です。お昼休みのない通し診療で、土曜も9:00〜17:00にあいています。きょうだいの定期検診を同じ日にまとめて予約できるか、下のお子さまを連れて行きやすいかも前もって聞いておくと、お仕事や家族の予定を立てやすくなります。


乳歯のむし歯は、現状が分かれれば今後の見通しが立ちます。まずは今のお口の状態を確かめるために、受診の予定をご家族で相談してみてください。


よくある質問(FAQ)


Q1. 乳歯のむし歯を3か月ほど放置するとどうなりますか?


A. 乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質の厚みが半分程度しかないため1、3か月の間にもむし歯が歯の内部へ進み、神経の近くまで達してしまうことがあります。見た目には小さな穴や黒ずみでも、中で広がっている場合があるため、「かむと気になる」などのサインがあれば月単位で様子を見ず、早めに歯科医院で確認することをおすすめします。


Q2. むし歯を5年、10年と長期間放置した場合はどうなり、治療費はどのくらいかかりますか?


A. 乳歯のむし歯を数年間放置すると、歯の頭の部分が崩れて根だけになり(C4)、根の先にたまった膿が下で育つ永久歯に影響したり、早く歯を失って永久歯の生えるすき間が狭まったりする可能性があります16。永久歯のむし歯を長期間放置した場合も、神経の治療や抜歯が必要になることがあります。抜歯後に歯を補う治療や、失ったすき間を整える矯正治療が必要になると、公的医療保険が適用される範囲を超え、自由診療で数万〜数十万円程度の費用がかかるケースもあります(一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用や保険適用の有無は医療機関およびお口の状態により異なります)。


Q3. 仕上げみがきは何歳ごろまで続けるのがよいですか?


A. 奥歯の乳歯が永久歯に生え替わり、さらにその奥に新しい永久歯(第一大臼歯・第二大臼歯)が生えてくる小学校中学年〜高学年(9〜12歳ごろ)までは、保護者の方による仕上げみがきや点検を続けることが勧められます。生えたばかりの永久歯は背が低く歯ブラシが届きにくいため、お子さまが自分で磨いたあとに、1日1回は就寝前に奥歯や歯と歯の間を確認してあげましょう。


Q4. 子どもにも歯周病(歯肉炎)はありますか?むし歯治療の前に確認するのはなぜですか?


A. お子さまでも、歯と歯ぐきの境目に汚れが残っていると、歯ぐきが赤く腫れたり血が出たりする「歯肉炎(歯周病の初期段階)」になることがあります。歯ぐきが腫れて出血しやすい状態のままむし歯の詰め物などをすると、詰め物がうまく接着しなかったり、境目から再びむし歯になったりすることがあります。そのため、まずは歯ぐきの状態や磨き残しを確認し、お口の環境を整えてからむし歯の処置へ進むことが、治療した歯を長持ちさせることにつながります。


参考文献


1. 歯とお口の発生と育ち方 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/function/teeth-grow.html

2. Kazeminia M, Abdi A, Shohaimi S et al. Dental caries in primary and permanent teeth in children's worldwide, 1995 to 2019: a systematic review and meta-analysis. Head & face medicine. 2020. PMID: 33023617. DOI: 10.1186/s13005-020-00237-z

3. 岡山大学病院 歯と口のトラブルマップ | 病名から探す. https://www.hsc.okayama-u.ac.jp/hospital/dnavi/disease.html

4. Foros P, Oikonomou E, Koletsi D et al. Detection Methods for Early Caries Diagnosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Caries research. 2021. PMID: 34130279. DOI: 10.1159/000516084

5. Schwendicke F, Walsh T, Lamont T et al. Interventions for treating cavitated or dentine carious lesions. The Cochrane database of systematic reviews. 2021. PMID: 34280957. DOI: 10.1002/14651858.CD013039.pub2

6. 入れ歯 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/lose/index17_03.html


芦刈 聡

歯科医師


芦刈デンタルクリニック

院長

芦刈 聡

▶ 監修者プロフィール

経歴
名古屋市生まれ
東海高校卒業
愛知学院大学歯学部卒業
資格・所属学会
日本歯科医師会
愛知県歯科医師会
名古屋市歯科医師会
名古屋市西区歯科医師会
日本訪問歯科協会
日本糖尿病協会
国際歯周内科学研究会
日本床矯正研究会
名古屋市立栄生小学校 学校歯科医
藤の宮保育園 園医
愛知県歯科医師会 厚生共済部次長
東海デンタルクラブ 常務